ラジオ・ラジカセミニ博物館

National RS-4250
STEREO MAC ST-5の修理


2018年5月27日更新

★オリジナルのヘッドに交換 2018.5.27★


ST-5はいつも仕事場で使用しています。

FM/AM ステレオラジオカセット
STEREO MAC ST-5
RS-4250
1977年10月発売、当時の定価\64,800



修理未経験者や初級者向けの細かい工程の説明はしていません、
基礎知識があり修理経験豊富な方が修理してください。
万一修理を失敗しても、自己責任でお願いいたします。

★修理専門業者ではないので、修理依頼はお受けしていません★

2005年の10月頃にFM受信が出来なくなった故障です。
この故障は、ほぼ同時期に2台のST-5で経験しました。
FM受信の感度が落ちてきたなと思っているうちに、しばらくしてから受信できなくなりました。
原因はFMトラップコイルでした。
同じ型のコイルは、同年代のナショナルのラジオとラジカセだけに使われています。
同年代のナショナルのラジオやラジカセで、FMが受信できない場合や感度低下があった場合は、
FMトラップコイルを疑ってみると良いかもしれません
そのときの修理の模様を振り返ってみます。
  写真は修理した物ではありません、保守用パーツ機です。
裏側のネジを外して、フロントパネルを外します。
基板の固定ネジ類、金属プレートも外した状態です。
このモーターは、前オーナが改造したためオリジナルではありません。
  カセットメカを外します。 
 
基板の裏です。
チューナー基板です。
  FI 103と書かれている銀色の部品が故障箇所です。
FMトラップコイルです。
その下は、バリコン。
裏側です。
バリコンにつながっているダイヤルドラムに掛かっている
糸を外れないようにセロテープで固定しました。
ダイヤルドラムのネジを外して、ダイヤルドラムを引き抜きます。
写真のほぼ中央が故障したコイルです。
シールドケースと4本の足がはんだ付けされています。
1本は、はんだ付けされていません
取り外したコイルです。
左が正常のコイル、右が以前外した不良のコイル。

他のメーカーやフロントエンドがICになっている回路では、
使用されていません。

コンデンサーを内蔵していないコイルを使用している回路もあります。
取り外したコイルの底です。
左が正常のコイル、右が不良のコイル。
中の筒状の物がコンデンサーです。
右側の不良のコンデンサーが黒くなっています、容量が194pF位でした。
正常なコンデンサーが208pF位でした。
おかしいですね、このぐらいの誤差なら動作するはずです。
取り外してから1年と、時間がたっているので、
一時的に直っているのかもしれません。
ためしに不良のコイルを取り付けてテストしたところ動作しました。
いつまで持つか分かりません。
保守パーツ機は、不良コイルを取り付けたままテストしましょう。
回路図です。
中央のFMトラップコイルです。
内蔵のコンデンサーの容量は書いてありません。

新品状態のを計れば良いのですがありません。
同じ部品が手に入らない場合は、
内蔵コンデンサーの配線を外してから、
別のコンデンサーを
基板の裏にはんだ付けすると良いです。
FMトラップコイルの修理
交換したコイルが再び劣化して、FM放送が局間ノイズだけになってしまいました。
コンデンサーの容量を計ると190pFぐらいになっていました。
同じメーカーの機種で、別のトラップ回路を調べました。
コイルにコンデンサーを内蔵していない場合、330pFのコンデンサーが接続されています。

参考にして、コンデンサーの外付けに挑戦してみます。
まず取り出したコイルの足に接続されている内蔵コンデンサーからの配線を切断します。
配線を切断したコイルを基板に戻してはんだ付けします。
配線を切断した足の裏に、330pFのセラミックコンデンサーを
はんだ付けしました。
結果は、見事にFM受信が復活しました。
今回は手持ちのコンデンサーが330pFしかなかったのですが、
コンデンサーの容量はもう少し小さいほうが良いと思います。
330pFより小さい値の220pF
のほうが良いかもしれません。 
いくつかの値のコンデンサーでテストしてみたいと思います。
再びFM放送が受信できなくなりました。
修理用に部品を買ってあったのですが、
数年、時間がなく直せませんでした。
やっと修理開始しました。
220pFに交換しました。
2SA838との互換トランジスターテスト
2SA838は入手困難になってきています。
互換トランジスターのテストをするため、ソケットを取り付けました。

2SAのトランジスターで互換性のあるもがあるか、
いくつか買ってきたのでテストしてみます。


まずは、2SA844、2SA733、2N3906、BC577を
買ってきました。
他の手持ちのトランジスタと一緒にテストしてみます。
今回使用したトランジスターの中では、
中間周波増幅には2SC945と2N3906が使用できました。
自励式のため局発と周波数変換は、
1つのトランジスターで行っています。
2SC945は使えるものと使えないものがありました。
2SA844は、80MHz位以下にしか使用できませんでした。
2N3906は自励式の局発・周波数変換には
使用できました。
録再ヘッド、モーターの交換 
  写真では分かりにくいですが、摩耗したヘッドです。
120分テープを毎日のように再生していたので摩耗しました。
パーマロイヘッドです。
ヘッドを入手したので交換してみます。
左側からパーマロイヘッド、
真中がフェライトヘッド、
右側が部品取用ST-5のヘッドです。

パーマロイヘッドの回路に、フェライトヘッドを取り付けると
どう変化するかテストしてみます。
  上の写真と順番が逆になります。
インピーダンスが測定できないので、
テスターで抵抗値を測ってみました。

パーマロイヘッドは、Rchが229オーム、Lchが224オーム。
フェライトヘッドは、Rchが245オーム、Lchが241オーム。
部品取用ST-5のヘッドは、Rchが238オーム、Lchが235オーム。
使用していたST-5のヘッドは、Rchが223オーム、Lchが227オーム。
  左側が、以前購入したフェライトヘッド。
Rchが178.1オーム、Lchが178.8オーム。
右側は今回購入したフェライトヘッド。
 
  今回購入したフェライトヘッドは、Rchが245オーム、Lchが241オーム。
オリジナルのパーマロイより抵抗値が高いヘッドです。

再生音は、ヘッド特性のようで高域が良く伸びます。

ヘッドタッチの良さが分かります、くっきりした音です。
好みとしては、やわらかい音のオリジナルのヘッドの方です。

録音は、録音回路とは合わないため高域シャリシャリで歪みます。
バイアス電流が足りない音です。
バイアス電流調整ボリュームで調整できる範囲を超えています。
消去電流も多くすればバイアス電流も調整できる範囲になりますが、
消去ヘッドとバイアス発振回路のトランジスターに負荷がかかりすぎます。
録音には、このヘッドは使用できません。

バイアス調整ではなく、高域のピーキング回路の
コンデンサー交換が必要です。
  以前購入のフェライトヘッドは、Rchが178.1オーム、Lchが178.8オーム。

再生音は、ヘッド特性のようで高域が良く伸びます。
これもヘッドタッチの良さがわかり、くっきりとしたきれいな音です。
悪くはないですが、オリジナルのヘッドの方が好きな音質です。

録音は、録音回路とは合わないため高域出すぎて少し歪みます。
バイアス電流が足りない音ですがこちらのフェライトヘッドはまだましです。
バイアス電流調整ボリュームで調整できる範囲を超えています。
消去電流を調整値上限まであげれは、バイアス電流も調整値に
できますがもっとバイアス電流を上げないといけないようです。
消去ヘッドとバイアス発振回路のトランジスターに負荷がかかりすぎます。
録音には、このヘッドは使用できません。

バイアス調整ではなく、高域のピーキング回路の
コンデンサー交換が必要です。
  パーマロイヘッドは、Rchが229オーム、Lchが224オーム。
オリジナルのパーマロイヘッドとの誤差は許容範囲です。

再生音は、オリジナルのパーマロイヘッドに近い再生音です。

録音は、録音補正回路と合っているため調整値に合わせられます。
このヘッドを使用することにしたので、再度調整し直します。
バイアス発振周波数、消去電流、バイアストラップコイル、
バイアス電流、ライン出力の調整をします。

★テスト結果★
回路変更なしで録音再生する場合は、
同じ特製のヘッドで交換が良いです。

再生するだけの場合は、フェライトヘッドも音質が好みに合えば
良いかと思います。
高域のピーキング補正は、コンデンサー交換を必要とします。

RS-4250
昭和52年10月
今回も、テクニカルマニュアルの間違いを数か所見つけました。
回路図や説明に意外と間違いがあります。
調整方法の間違いは困ります。
正しい調整法を知らないと間違いに気づきません。
実際に使用されている部品と、
回路図とプリント図とも違いがあります。
モーターは故障していませんが、少しスピードが遅いので交換したいと
思っていました。
このモーターは直流モーター(機械ガバナ方式)で、
電子サーボではないのでスピード調整ができません。
機械式サーボです。
上位機種のRS-4350も直流モーターですが、
電子ガバナモーター(電子サーボ)で速度調整ができます。
手持ちのサーボモーターに交換してみます。
モーター取り付けねじと、プーリを外して交換します。
交換して、スピード調整をしました。
これで、スピード偏差が気にならなくなりました。
電解コンデンサーの交換
オーディオ基板です。
歪みが気になりだしたのと、
低音が出にくいので電解コンデンサーの交換をします。
チューナー基板です。
交換用の電解コンデンサーです。
オーディオ用、低ESR、パイポーラ、標準の電解コンデンサーです。
他にもまだ、標準の電解コンデンサーを使用します。
チューナー基板です。
オーディオ信号の通るところは、
オーディオ用電解コンデンサーを使用しました。
次回は、フィルムコンデンサーを使用したほうが良い所の
交換をする予定です。
オーディオ基板です。
オーディオ信号の通るところは、
オーディオ用電解コンデンサーを使用しました。
次回は、フィルムコンデンサーを使用したほうが良い所の
交換をする予定です。
オーディオ基板です。
オーディオ信号の通るところは、
オーディオ用電解コンデンサーを使用しました。
次回は、フィルムコンデンサーを使用したほうが良い所の
交換をする予定です。

ツィーターのネットワークのバイポーラの容量が違ったので次回交換です。
回路図では4.7μFのパイポーラの電解コンデンサーが
使用されていますが、基板には2.2μFが使用されていました。
ツィーターのインピーダンスが8オームのときのカットオフ周波数は、
4.7μFのときは4.3kHzで、2.2μFのときは9.1kHzになります。 
今回交換した電解コンデンサーです。
ここまでの段階で、低音復活と歪みがなくなりました。
エージングが進むにつれて、低音の量感が増してきます。
ツィーターの修理
RS-4250のツィーターは、
接着剤の経年劣化でマグネットが
抜けてしまいます。

抜けてきたり落ちた場合は、
元に戻して接着剤をふちに塗って固定してください。
オリジナルのヘッドに交換
秋葉原で購入したヘッドを取り付けていましたが、
音が良くないので不満がありました。
同じヘッドを使用している部品取りから、
摩耗の少ないヘッドを取り外しました。
オリジナルのヘッドを取り付けました。
まだ仮止めです。  
ミラーカセットをセットします。
電源はつないでいない状態で、再生ボタンを押します。
リーダーテープ越しに見てヘッドの傾きを確認します。
ヘッドの傾きがテープに平行になるように
アジマス調整ネジを調整します。
ミラーカセットのテープを走行させて、
テープパスを確認します。
10kHzのアジマス調整テープで調整します。
ミリバルで再生レベルを確認します。
  出力が左右最大になるように調整します。
オシロスコープのリサージュで位相を合わせます。
ネジをペイントロックします。
他機で録音したテープで、
再生の互換性をチェックします。
オリジナルのヘッドに交換したので、
不満だったテープ再生の音が良くなりました。
実はフルオーバーホールは完全に終わっていません。 またいつか続きをやりたいと思います。

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