| エレクトレット コンデンサー ステレオ マイクロホン ECM-989 1983年10月30日購入
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      |    ソニー初のMS(Mid Side)方式のワンポイント・ステレオマイクで、指向主軸角度を0度から150度まで連続可変できます。
 マイクユニット部とコントロール部が分離して、延長ケーブルを接続すると遠隔操作ができます。
 
    マイクカプセル部とコントロール部に分離可能で、間にケーブルを接続して100メートル位まで延長して
 リモートコントロールができます。
 別売りの延長ケーブルEC-10CS-5P(10m)を接続。
 
  標準プラグをキャノンコネクターと同タイプのノイトリックのコネクターに変更し、ステレオミニプラグのケーブルも製作しました。
 TC-2500に接続しての生録から、WM-D6C、SV-MD11、NT-1などでも使用しました。
 
    カタログの画像をクリックすると大きくなります。
 
  
 
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      | 修理履歴 | 
    
      |  昭和60年(1985)7日月15日、
 キャノンプラグネジ外れによる破損。
 マイクユニット部とコントロール部のキャノンコネクタが外れた
 のだと思います。
 |  壊れたことがあったような気がします。
 コントロール部のキャノンコネクタが外れたのかもしれません。
 分解しないとネジが締められませんので修理に出したと思います。
 
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      |  昭和60年(1985)11日月19日、角度調整ツマミのガリ発生。
 修理結果表は技術料のみなので、部品交換は
 していないと思います。
 | マイク角度0度からステレオにするとサーというノイズが増えるようで、 S/Nが良くないと思い修理に出した記憶があります。
 仕様ということで改善はされませんでした。
 ワンポイントステレオマイクは、屋外での使用するのに便利でしたので
 長いこと使用していました。
 アルカリ乾電池で連続30時間という使用時間が短いのが欠点ですが、
 マイク角度が調整できるだけでなく、マイクユニット部も分離できるので、
 別売りのリモートコントロールユニットMRU-90は購入しませんでした。
 
 1990年6月24日に購入した、テクニクスのポータブルDAT
 SV-MD11に接続するために、不平衡型の標準プラグを
 平衡型のキャノンコネクターに交換しました。
 取扱説明書の6ページにコネクターとプラグの説明があります。
 
 2018年に所有マイクの動作テストをしてみると、
 ECM-989の電源スイッチを入れても、
 バッテリーチェックランプが点灯しなくなりました。
 電源を入れると、LEDのバッテリーチェックランプが瞬時光って
 電池使用可能か知らせてくれます。
 デッキにつないで音が出るかチェックしたところ、
 電源のオンオフでプツと音は両チャンネルから聞こえます。
 残念ながらマイクの収録音は聞こえませんでした。
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      | 動作品のECM-989を入手し、故障個所を調べる。 | 
    
      |  2019年11月にやっと動作品のECM-989を入手できました。
 取扱説明書はありませんが美品です。
 若干の接触不良はありますが動作品です。
 |  マイクユニット部とコントロール部を入れ替えて
 動作テストをしました。
 マイクユニット部ではなく、コントロール部の故障です。
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      |  取扱説明書のブロックダイヤグラムを見て故障個所を予想します。
 電源オン時にブツと両チャンネルから聞こえますので、
 マトリックス回路は大丈夫かもしれません。
 電源関係の故障と予想できます。
 | ネットで検索してもECM-989の修理記事は見つかりません。 サービスマニュアルは海外用はあるようです。
 カタログを見ると内部構造がなんとなくわかります。
 分解方法を自分で調べてみることにします。
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      | 分解手順(仮組後に再分解した写真を使用) | 
    
      |  マイクユニット部とコントロール部を分離します。
 |  グリップを取り外します。
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      |  ストッパーで一旦止まりますが抜き取ります。
 |  樹脂製のストッパーがあります。
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      |  ストッパーを取り外します。
 |  電源/音質切り換えスイッチレバーを取り外します。
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      |  ツマミの2か所に溝があります。
 指向主軸角度セレクターのツマミを取り外します。
 |  ラッチボタンの化粧板を外します。
 精密ドライバーなどでこじ開けました。
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      |  化粧板の下にネジがあります。
 
 |  各部ツマミ類を取り外してからラッチボタンのネジも外し、
 ラッチボタンも取り外します。
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      |  裏側の2か所のネジを外します。
 |  ネジリングの取り付けネジを取り外してスライドさせます。
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      |  ラッチボタンのネジを外してラッチボタンを取り外します。
 カバーをスライドさせます。
 |  ラッチボタンと音質/切り換えスイッチのカバーを取り外します。
 
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      |  取り外した部品。
 |  昭和60年にゆるんだキャノンコネクターの取り付けネジ。
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      |  回路基板側カバーの固定ネジを外します。
 |  回路基板側カバーの固定ネジを外します。
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      |  回路基板側カバーの固定ネジと
 指向主軸角度セレクターの固定ネジを外します。
 |  回路基板側のカバーの固定ねじを外します。
 
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      |  回路基板側カバーを取り外します。
 仮組後の写真為、入力トランスの樹脂カバーを止めている
 テープは布製ガムテープを使用しています。
 |  マトリックス回路。
 
 
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      |  マトリックス回路。
 |  DC-DCコンバータとバッテリーチェッカー回路。
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      |  シールドケースはDC-DCコンバータ。
 
 |  入力トランスの樹脂カバーを固定している本来のテープです。
 このように、接着剤も劣化してはがれていました。
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      |  入力トランスと樹脂カバー。
 |  モード切り換えスイッチのレバーを取り外します。
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      |  取り外したモード切換スイッチのレバー。
 |  電池ボックスの固定ネジを外します。
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      |  電源/音質切り換えスイッチの固定ネジを外します。
 |  入力トランスの樹脂カバーを外します。
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      |  入力トランスをどかして指向主軸角度セレクターの
 固定ネジを外します。
 仮組後の写真の為、プラスの配線が仮組のつなぎ方です。
 
 |  仮組前の基板です。
 電池ボックスからのプラスの配線は、基板の穴を通っています。
 電池ボックスへの取り付け作業が難しかったので、
 プラスの配線を基板から外しました。
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      |  仮組後の写真です。
 本来は、プラスの配線は矢印の部分を通って繋がっていました。
 プラスの配線は取り外すと、基板の穴を通すのが難しいです。
 隙間から通しました。銅箔パターンが両面にある基板です。
 |  回路基板固定ネジを外します。
 
 
 
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      |  回路基板固定ネジを外します。
 |  回路基板固定ネジを外します。
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      |  回路基板固定ネジを外します。
 |  回路基板と電池ボックスを切り離しました。
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      |  電池ボックスマイナス側とモード切り換えスイッチ。
 |  マトリックス回路パターン側。
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      |  入力トランスとDC-DCコンバータのパターン側。
 
 
 |  モード切り換えスイッチ。
 アルカリ電池の液漏れが少しついています。
 磨いておきます。
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      |  電池ボックスマイナス側は、アルカリ電池の液漏れで腐食して
 います。
 腐食した部分を磨くため、マイナス側のスプリングとネジを
 外しましたが、ネジが短いために組み立てが大変困難でした。
 |  マイナスの黒い配線も腐食のため取れてしまいました。
 分解して磨いた後に少し長めの新しい線を取り付けました。
 
 
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      | 配線確認用写真(仮組前の写真) | 
    
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      |  | 回路図や配線図などがないため、 いろいろな角度から撮影しました。
 それでも見えていないところがあります。
 今回は接写のできるデジカメを使用しています。
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      | 部品を見て故障個所の見当をつける。 | 
    
      |  基板を見るとステレオなので左右対称に部品があります。
 左右同時に不良となっているので、左右に関係している
 部品が故障と推測できます。
 |  DC-DCコンバータ周辺で一番怪しいのは、
 ひとつだけある電解コンデンサーです。
 半田を吸い取り、取り外して調べてみます。
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      |  テスターで容量を計ると測定できませんでした。
 電解コンデンサーの不良のようです。
 | 手持ちの電解コンデンサーで22μFがありませんでした。 33μFが1個だけありましたので、テストとして取り付けてみました。
 取り外した電池ボックスの配線をつなげてから、
 電池をセットして動作テストをしてみます。
 電源スイッチを入れると、バッテリーチェックランプが
 一瞬点灯する様になりました。
 電解コンデンサーの容量が違うので、DC-DCコンバータの
 動作にどのような影響があるかわかりません。
 仮組をして動作テストをしてみます。
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      |  入力トランスの樹脂カバーを固定するテープの種類によって
 付きがよくありません。
 布製ガムテープが一番良かったです。
 |  組み立てて動作テストをしました。
 ユニットを入れ替えたり比較してみましたが、
 コントロール部の出力レベルがとても低いです。
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      | 1回目の修理は、ここまで調べました。
 DC-DCコンバータの出力電圧が正常であれば、出力レベルが低いのは別の原因であると考えられます。
 
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      | 2回目の修理開始 2020年3月22日 | 
    
      |  アルカリ電池の液漏れが原因らしく、
 抵抗のリード線が腐食して破損していました。
 |  腐食して折れた抵抗のリード線。
 磨いてもハンダは付きにくいです。
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      |  手持ちの抵抗は1/4Wしかありません。
 |  折れたほうのリード線を取り除きます。
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      |  折れた抵抗のもう片方のリード線を残して切り離します。
 |  残したリード線をつないでハンダ付けします。
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      |  仮組をして動作テストと比較をします。
 |  感度は元通りに直ったようです。
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      | 配線確認用写真(仮組後の写真) | 
    
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      | まとめ | 
    
      |  DC-DCコンバータの出力のリード線。
 |  DC-DCコンバータの出力電圧は9.54Vありました。
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      |  トランジスター規格表見ると、
 マトリックス回路に使用されているトランジスターは、
 用途が高周波増幅と低雑音増幅と書いてあります。
 
 | 今回の修理で、無事直りました。 DC-DCコンバータの出力に繋がっていた電解コンデンサーの不良と、
 抵抗の腐食による破損でした。
 去年もポータブルラジオの基板が、
 液漏れによる腐食で壊れて、基板を交換しました。
 アルカリ電池の液漏れした電解液は、
 長い間に腐食して故障の原因となります。
 
 2019年にし購入したものと比較をしてみました。
 以前から気になっていたS/Nの悪さがはっきりしました。
 個体差によるものか、トランジスターの雑音レベルの違いのようです。
 マトリックス回路に使用されているトランジスターの2SC1362も
 オーディオ用の低雑音トランジスターに交換すると
 S/Nが良くなると思います。
 
 経年劣化でトランジスターもノイズが増えることがあります。
 同じトランジスターがなくても互換品に交換することができます。
 互換表によると、2SC1843、2SC1815、2SC331A、2SC1344、
 2SC1740Sなどです。
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